2026年5月2日土曜日

第46回:既知ブロッカーと制限事項の台帳を作ることにした

1. はじめに

独力+AI活用で月商1億円を目指している。

最近は、開発用PCと確認用端末を分けて使う体制がかなり固まってきた。

開発用PCでは、実装、修正、自動テスト、ビルド確認、PR作成を進める。
確認用端末では、実機UI確認、シナリオ試験、スクリーンショット取得、試験報告を行う。

この分担はかなり有効だと思っている。

ただ、運用しているうちに、別の問題も見えてきた。

確認用端末が試験をすると、当然いろいろな問題が出てくる。
しかし、その中には、すぐ直すべき不具合もあれば、既に分かっている制限事項もある。
さらに、上流の問題が解消しない限り、下流の画面や操作を何度試しても意味がないケースもある。

このままだと、同じ問題を何度も報告してしまう。
既知の制限事項を毎回P0/P1として量産してしまう。
本来は上流ブロッカーを直すべきなのに、下流の現象ばかり追ってしまう。

そこで、既知ブロッカー・制限事項の台帳を作ることにした。


2. なぜ台帳が必要なのか

確認用端末の試験は重要である。

実際に画面を触ることで、自動テストでは拾いにくい違和感や導線の弱さが見えてくる。
シナリオ試験をすると、単体画面では分からない流れの詰まりも見つかる。

ただし、試験を増やすほど問題も起きる。

一番困るのは、既知のブロッカー配下で、同じような指摘が増え続けることである。

たとえば、ある上流処理が詰まっていて、そこから先の操作に進めない状態があるとする。

その状態で下流の確認を何度も行うと、

  • この画面に進めない

  • この操作ができない

  • この後続機能を確認できない

  • このシナリオが完走できない

という指摘が大量に出てくる。

しかし、根本原因は一つかもしれない。

その場合、本当に直すべきなのは上流ブロッカーであり、下流の指摘を大量に増やすことではない。

だから、既知ブロッカーとその影響範囲を台帳で管理する必要がある。


3. 残課題一覧とは役割が違う

ここで大事なのは、既知ブロッカー台帳は、残課題一覧の代わりではないということだ。

それぞれ役割が違う。

管理対象役割
既知ブロッカー・制限事項台帳試験可否、Blocked by、再開条件を管理する
残課題一覧開発用PCが実装する課題を管理する
後回し機能一覧初期公開では追わない機能や将来対応を管理する

これを混ぜると、運用が混乱する。

確認用端末が見つけた問題を、全部そのまま開発残課題に入れると、残課題一覧が膨れ上がる。
逆に、後回し機能として登録していたものが、実は主要導線を止めている場合もある。

その場合は、後回しではなく、ブロッカーまたは残課題として再分類しなければならない。

つまり、台帳の役割は、単に問題を増やすことではない。

何が試験を止めているのか。
何が既知の制限事項なのか。
何を直せば再試験できるのか。

これを整理することである。


4. 台帳で管理したいもの

今回作りたい台帳で管理するのは、主に以下である。

  • 既知ブロッカー

  • 制限事項

  • Blocked by 関係

  • 再開条件

  • 残課題一覧との関係

  • 後回し機能一覧との関係

  • 開発用PCが対応すべきか

  • 確認用端末が再試験すべきか

特に重要なのは、Blocked by 関係である。

下流の問題が、上流のどの問題によって確認不能になっているのか。
これを明確にする。

たとえば、ある初期導線が詰まっているため、後続の確認ができない。
この場合、後続の確認項目を全部P0にするのではなく、

上位ブロッカーが未解消のため、後続項目はBlocked byとして扱う

という整理にする。

これで、無駄な試験と重複報告を減らせる。


5. 状態を整理する

台帳には状態も必要である。

最低限、以下のような状態を使いたい。

状態意味
New新規に確認された状態
Blocked上位問題や環境不足などで確認できない状態
Fixed開発用PCが修正した状態。ただし再確認前
Confirmed確認用端末が再確認し、解消を確認した状態
Reopen再確認で未修正または再発を確認した状態
Backlog後回しにする状態
Won’t fix対応しない判断。理由必須
Limitation現時点の制限事項として扱う状態

ここでも重要なのは、FixedとConfirmedを分けることである。

開発用PCが修正しただけでは、まだ完了ではない。
確認用端末が再確認して、解消を確認して初めてConfirmedになる。

これは、前回考えたMarkdown運用のClose相当ルールともつながる。


6. 既知ブロッカー配下を何度も試験しない

今回の台帳で一番効果が出そうなのは、既知ブロッカー配下の再試験抑制である。

確認用端末が長編シナリオ試験をしていると、途中で詰まることがある。

そのとき、下流工程を無理に全部確認しようとすると、試験結果が膨大になる。
しかも、多くは同じ上流原因に起因する可能性がある。

だから、今後はこうする。

上位ブロッカーが未Fixedの場合、下流工程を無理に繰り返し試験しない。
下流工程はBlocked byとして記録する。
上位ブロッカーがFixedになった後、指定範囲だけ再試験する。

これにより、確認用端末の作業効率が上がる。

AIツールの消費も減る。
報告書も読みやすくなる。
開発用PCも、どこを直せばよいのか判断しやすくなる。


7. 既知の制限事項を毎回P0/P1にしない

もう一つ重要なのは、制限事項の扱いである。

現時点では、まだすべての機能や導線が完成しているわけではない。
そのため、今は確認できない範囲もある。

それを毎回P0やP1として報告してしまうと、開発側の優先順位が崩れる。

すでに分かっている未実装範囲。
意図的に後回しにしている範囲。
現時点では確認できない範囲。

こうしたものは、制限事項として台帳に記録する。

そして、同じ理由で毎回新規P0/P1にしない。

ただし、別原因の問題が見つかった場合は、新しい指摘IDを採番する。

この切り分けが重要である。


8. 台帳は確認用端末ではなく開発用PC側で準備する

今回の判断として、台帳とルール整備は、確認用端末ではなく開発用PC側で行うのがよい。

理由はシンプルである。

確認用端末は、検証担当である。
実機確認、シナリオ試験、スクリーンショット、再確認に集中させたい。

そこに管理設計や台帳構造の整備までやらせると、また混乱する。

以前も、確認用端末に広い裁量を持たせすぎると、実際の試験ではなく、テンプレート作成やドキュメント作業に寄ってしまうことがあった。

だから、今回は開発用PC側で台帳を準備する。

そのうえで、確認用端末は台帳を見て試験する。
開発用PCは台帳を見て修正する。
両方が同じルールで動く。

この形がよい。


9. 今回は実装しない

今回の作業は、アプリ本体の実装ではない。

UI修正もしない。
DB変更もしない。
E2E修正もしない。

やるのは、ドキュメント、台帳、Cursor指示文の整備である。

これは一見、地味な作業である。

しかし、今後の開発効率にはかなり効くと思っている。

試験結果、既知ブロッカー、制限事項、残課題、後回し機能が混ざったままだと、開発が進むほど混乱する。

今のうちに分類ルールを作っておくことで、後の試験と修正の流れがかなり楽になるはずである。


10. 繰り返し指示にも反映する

台帳を作るだけでは足りない。

今後の繰り返し指示にも反映する必要がある。

開発用PC向けには、以下のような内容を入れたい。

確認用端末の報告がある場合は、既知ブロッカー・制限事項台帳も確認する。
既知ブロッカーはID単位でP0/P1を優先する。
修正後はFixedとして、commit、修正ファイル、検証結果、再確認対象を明記する。
Blocked by配下の下流工程を個別に大量修正対象にせず、まず上位ブロッカーを解消する。
Close相当は確認用端末の再確認でConfirmedになった場合のみとする。

確認用端末向けには、以下のような内容を入れたい。

試験前に既知ブロッカー・制限事項台帳を確認する。
Blocked byの上位IDが未Fixedの場合、下流工程を無理に再試験しない。
制限事項に登録済みの内容は、同じ理由で新規P0/P1にしない。
別原因の場合のみ、新しい指摘IDを採番する。

これで、台帳が実際の運用に組み込まれる。


11. 台帳を作ることで期待する効果

今回の台帳で期待している効果は大きい。

期待効果内容
重複指摘の削減同じ問題を何度もP0/P1にしない
試験効率の向上上位ブロッカー配下を無理に繰り返し試験しない
優先順位の明確化まず直すべき上位ブロッカーが見える
開発側の判断改善残課題、制限事項、後回し機能を切り分けられる
確認側の負担軽減再試験範囲を絞れる
古い指摘の保全過去の報告やスクショを捨てずに扱える

特に、長編シナリオ試験では効果が大きいはずである。

途中で詰まったときに、下流工程を全部P0にしない。
上位原因を記録し、下流をBlocked byとして整理する。

この運用ができると、試験結果がかなり読みやすくなる。


12. 今回の結論

確認用端末と開発用PCの連携は、かなり形になってきている。

ただし、試験結果、既知ブロッカー、制限事項、残課題、後回し機能が混ざると、運用が混乱する。

そこで、既知ブロッカー・制限事項台帳を作ることにした。

この台帳は、残課題一覧の代わりではない。
後回し機能一覧の代わりでもない。

役割は、試験可否、Blocked by、再開条件、制限事項を管理することである。

開発用PCは、この台帳を見て上位ブロッカーを優先修正する。
確認用端末は、この台帳を見て無駄な下流試験を避ける。
修正後はFixed、再確認後にConfirmed。
ConfirmedがClose相当である。

今回はアプリ本体を直すわけではない。
しかし、これは今後の開発と試験を安定させるための重要な整備である。

AIと複数端末を使った開発では、作業量を増やすだけでは足りない。

何を試験するのか。
何が既知なのか。
何がブロッカーなのか。
何を後回しにするのか。
何が解消されたら再開するのか。

これを整理する必要がある。

今回の台帳作りは、そのための一歩である。

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